人生を変えた小5②
前回の続き。
小5になって5人の仲良しグループを形成した私。
しかし、そのうちの一人であるAが不登校となってしまった。
Aのいない日々が続いたある日。
それは突然だった。
Aが朝から教室にやって来たのだ。
久しぶりに登校したAは、以前とは少し雰囲気が変わっているようだった。
私たち4人はAのもとに駆け寄り、いろいろなことを話した。
それからAは不登校になることもなく、たまに保健室に登校してきたときはわざわざ保健室に行ってあげるほど仲良くしてあげた。
しかし、私はこの状況にウンザリしていた。
私には、この面倒くさい女とつるまなければならない理由がサッパリ分からなかったのだ。
Aはあまりにも繊細すぎて、その行動や心の動きのすべてが私には理解できなかった。
なぜ悪口を言われたくらいで不登校になるのか?
なぜ私たちだけが悪者にされて、責められて、Aと仲良くしなければならないのか?
私はAとは正反対の人間だ。
悪口を言われて避けられても私は何も傷つかないし、そもそもそのことに気づかない可能性だってある。
悪口を言われるくらい相性の悪いところなら、もう関わらずに一人になったほうがずっといい。
いちいち不登校なんていう大事にする意味も分からなかった。
大体、変な自慢さえしてなかったらこんなことにはならなかったのだから、Aにも責任はあるだろう。
その責任を私たちだけが、しかも疎遠だった私も背負わなければいけないのはおかしい。
発達障害特有の鈍感さと、人の気持ちを理解しない精神で私は腹が立っていた。
あの話し合いのあと、一連の事態は学校から私の母にも伝わっていた。
それは他の4人も同じで、一番仲の良かった1人に聞いてみるとその子は母親からひどく怒られたらしい。
やはり一人の同級生を不登校にしたという過失は大きく、親子でAの家に謝ったそうだ。
しかし、私の家は違った。
私とAがそれほど仲良くなかったという事実や、Aの繊細すぎる性格を加味してほとんど怒られなかったのだ。
私の母は、昔からAやAの母のことをあまり良く思ってなかったらしく、仕方ないというような反応だった。
むしろ、向こうにも悪いところがあるとかなんとか…
幼稚園から一緒だったので、そこで何かあったのだろう。
当然、Aの家に謝ることもしていない。
あそこは面倒くさいところだから…
そういった嫌な気持ちが、私の中に渦巻いていた。
数年後。
私たちは中学生になっていた。
5人全員が同じ中学校に進学し、それぞれがそれぞれの道を歩んでいるはずだった。
しかし、そこにAはいなかった。
Aは再び、不登校になってしまったのだ。
私が最後にAを見かけたのは中1の冬ごろ。
そこから私は今までAの姿を一度も見ていない。
また繊細すぎる性格が災いして、学校に行けなくなってしまったのだろうか。
まあ、公立の中学校はいろいろな人がいて精神的な疲労も大きいので当然の結果だとは思うけど。
私は、Aをいじめたのだろうか。
これは全て私が悪いのだろうか。
Aがどんな性格であったとしても?
Aが不登校の状態を続けるきっかけになったのは、小5の時のあの事件だ。
小5のとき、私は人の人生を変えてしまった。
"私の"人生を変えたのではない。
"Aの"人生を変えてしまったのだ。